建築関係

荷揚げ屋(揚重業)の開業の仕方と注意点!

私は荷揚げ屋(揚重業)を作業員として始めてから24年になりますが、その間に多くの知り合いが独立し、私自身も約8年前に個人事業主として独立しました。

荷揚げ屋とは

荷揚げ屋とは、建築資材搬入業ともいい、建築現場の資材の搬入・搬出などを行う業種で、建築現場以外の搬入・搬出なども行う。
約30年前に出来た比較的新しい業種のため、会社により作業範囲などが大きく異なる事がある。

荷揚げ屋で独立する人が多い理由ですが、

  • 所属していた会社と揉めた
  • 自分の方針で仕事がしたい
  • 収入をアップしたい

などがありますが、一番の大きな理由は「荷揚げ屋は独立するのが簡単」なことです。

荷揚げ屋は道具がほとんどいらないので、スタッフへの給料の立替資金さえあれば基本的に独立は可能です。

そこで今回は、荷揚げ屋としての独立開業の仕方や注意点について書きたいと思います。

荷揚げ屋以外でも、独立開業を考えている方には参考になると思いますので、ぜひ、ご一読ください。

なお、私は個人事業主として独立していますが、法人の開業の仕方は詳しくないので、個人事業主としての独立開業の仕方について書かせていただきます。

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1.開業の届出は、書類を2種類書くだけです

・税務署に提出する「個人事業の開廃業届書」

個人事業主の開業の、必須の手続きは非常に簡単です。

  1. 税務署に提出する「個人事業の開廃業届書」
  2. 都道府県税事務所に提出する「個人事業税の事業開始等申告書」

最低限必要な手続きは、この2種類の書類の提出だけです。

税務署に提出する「個人事業開廃業届出書」は、納税地の税務署に事業の開始から1ヶ月以内に提出する必要があります。

納税地は居住地か、居住地以外に事務所がある場合は事務所の所在地か、どちらかを選ぶ事ができます。

青色申告をする人は「青色申告承認申請書」も同時に提出すると、手続きが楽です
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開業届は「提出用」と「控え」の2枚記入し提出します。

そして、受付印を押されて「控え」を返却されます。

ポイント

「開業届の控え」は、屋号での口座の開設や、仕事に関する保健を契約する際にコピーの提出を求められる事がありますので、大切に保管しましょう。

 

・都道府県税事務所に提出する「個人事業税の事業開始等申告書」

都道府県税事務所に対する届出は「個人事業税の事業開始等申告書」といいます。

ただ、私は開業当時「個人事業税の事業開始申告書」という書類を知らなかったったため提出していません。

確定申告をすると各都道府県に自動的に通知が行き、事業税が発生する場合は、事業税の納付通知も来るうえに、届出をしていなくても特に罰則はないため問題は発生しませんでした。

ただ、大した手間ではないので、「個人事業税の事業開始申告書」の届出もしておいた方がいいと思います。

届出は各都道府県のホームページからダウンロードでき、開業から15日以内に提出となっています。

 

2.給料の立替資金が必要です

荷揚げ屋でスタッフとして働いた場合は、給料は週払いなど早く貰えるケースが多いです。

しかし、自分で独立開業して、業者として取引する場合は「月末締めの翌月末払い」などが多く、スタッフ時代より入金が遅くなります。

しかも、自分以外にスタッフを雇った場合は、スタッフへの給料を入金より早く支払わなければいけません。

荷揚げ屋のスタッフは、「お金が早く欲しい状態の人」が多いため、人を雇うのであれば、給料を早く(週払いや日払いなど)支払える資金の確保が必要となります

 

3.労災保険の特別加入

・中小事業主労災特別加入制度

建築現場で働く際は労災保険の加入が義務となりますが、独立開業した場合は労働者ではなくなるため、「労災保険の特別加入制度」に加入しなければ現場で働けなくなります。

労働者(従業員)を1年間に延べ100日以上使用する見込みがある場合は「中小事業主労災特別加入制度」に加入します。

「中小事業主労災特別加入制度」を利用するには、「労働保険事務組合」に事務委託する必要があります。

お住まいの地域の労働基準監督署に行けば、近隣の労働保険事務組合の一覧表を渡してくれます。

「お住まいの地域 労働保険事務組合」で検索すれば、労働保険事務組合のホームページが複数表示されます。

中小事業主労災特別加入制度の料金は、日額補償金額によって異なりますが、日額補償金額を一番安く設定した場合、保険料と事務手数料を合わせて、年間で68,000円くらいです。

 

・一人親方労災保険の特別加入

建築業(荷揚げ屋を含む)で個人事業主として開業をするが、労働者(従業員)を雇う予定がなければ「一人親方労災保険の特別加入」が必要となります。

一人親方労災保険はネットで検索すれば、すごい数の広告が表示されます。

料金は日額補償金額により異なりますが、日額補償金額を安く設定すれば「保険料 + 事務手数料」を合わせても年額40,000円以下であります。

独立前の時点から、一人親方扱いで報酬を受け取っていて、「一人親方労災保険」にすでに加入している場合は手続き不要です

4.損害保険の加入

荷揚げ屋を含め、建築関係の仕事で独立する方は、損害保険の加入を強くおすすめします。

ちなみに私は、AIG損害保険業務災害総合保険(ハイパー任意労災)に入っています。


保証内容は

・任意労災

ケガや入院費用・死亡事故・後遺障害の保証などをしてくれます。

加入者本人と従業員従業員だけでなく、自社の請け負うった工事の場合は、受注した下請け業者の保証もしてくれます。

休業補償の有無と保障金額は選択でき、休業補償金額の高いプランの方が保険料は高く、休業補償のないプランは料金は安く設定されています。

・物損保険

荷揚げ屋をするのであれば、物損保険の加入もしておいた方がいいです。

物損保険では、搬入資材を破損した時の保証や、搬入時に建物を破損してしまった時の保証もしてくれます。

私自身も、建築用リフト(ピアット)で搬入している時に木材が崩れて、リフトの底板に穴を空けてしまった事がありますが、修理費用は保険で賄う事ができました。

損害保険の加入は、事故があった時の事もありますが、損害保険に加入していないと取引業者からの信用を失います。

中には、損害保険に加入していないと取引できない業者もありますので、損害保険の加入を強くお勧めします。

 

5.「建設業の許可」は必要か?

荷揚げ屋として独立開業するにあたって、「建設業の許可」が必要かという点ですが、

「軽微な建設工事」のみを請け負って営業する場合には、必ずしも建設業の許可を受けなくてもよいこととされています。

「軽微な建設工事」とは、

1.建築一式工事の場合で、工事1件につき請負代金1,500万円未満の工事、または延面積150m²未満の木造工事

2.建築一式工事以外の場合で、工事1件につき請負代金の額が500万円未満の工事

荷揚げ屋の場合は、一括揚重(建築現場の荷揚げを一括で請け負う事)でもしない限り、工事1件の請負代金が500万円を超える事はあまりないと思います。

それでも、ある程度大きな荷揚げ屋は建設業の許可を受けている所が多いですが、建設業の許可を受けるのは結構大変だと聞いています。

因みに、私は建設業の許可は受けていませんし、建設業の許可が必要な仕事を請け負った事はありません。

とりあえず、荷揚げ屋として独立開業するにあたって、建設業の許可がいきなり必要という事はないと思います。

6.請求書のテンプレート(Excel等)を用意しましょう【手書きはオススメしません】

荷揚げ屋を含め建築業関係の人間で、なかなか請求書を送らない人が結構います。

ひどい人になれば、請求書を送らないため入金がないので、支払いが滞っている人もいます

私からしたら「何のために仕事をしてるんだ(笑)」と思います。

ただ、原因としては、建築関係の人間はデスクワークの経験がない人が多いので、手書きで請求書を書いている人が多いのではないかと思います。

私も昔、キャラクターショー劇団を運営していた時は、パソコンが高価な時代は手書きで請求書を書いていましたが、請求書を手書きで書くのは、重労働なうえにミスも多くなります。

請求書の作成は、Excel等のパソコンソフトを使って作成することをお勧めします。

請求書のテンプレートさえあれば、Excel等のパソコンソフトそのものを覚えなくても、請求書のテンプレートに記載する方法を覚えるだけで済みます。

私は、インターネット上に配布してあった請求書をカスタマイズして使っていますが、もし、親しい同業者が先に独立していたら、請求書のテンプレートをコピーさせてもらって差出人を自社に変更するのが一番簡単な方法だと思います。

7.帳簿は会計ソフトで付ける事をお勧めします

個人事業主の確定申告方法としては、青色申告と白色申告があります。

青色申告の方が手間は掛かるがメリットが多く、白色申告は簡単だがメリットは少ないというのが特徴です。

ただ、以前は白色申告は前々年の所得が300万円以下の人は帳簿をつける義務がありませんでしたが、2014年から全ての人に「帳簿への記帳」と「記録の保存」が義務化されました。

現在では青色申告と白色申告でかかる手間にあまり差がなくなったので、青色申告の方が断然オススメです。

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帳簿は手書きで作成するのは凄く大変なので、確定申告書の作成までしてくれる会計ソフトの使用をお勧めします。

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8.まとめ

・荷揚げ屋は道具をほとんど必要としないため、独立へのハードルが低いので、独立する人が多い。

・開業したら1ヶ月以内に、署に提出する「個人事業の開廃業届出書」の提出が必要で、控えは大切に保管しましょう。

・都道府県税事務所に提出する「個人事業税の事業開始等申告書」もあります。

・独立する場合、業者からの入金よりスタッフへの給料を支払いが先になるため、給料の立替費用が必要となります。

・独立したら労働者ではなくなるため、中小事業主もしくは一人親方の「労災保険の特別加入」が必要。

・荷揚げ屋は、事故やケガ、搬入物や建物の破損のリスクも高いため、損害保険の加入を強く推奨します。

・荷揚げ屋の仕事は「建設業の許可」を必要としない「軽微な建設工業」にあたる事が多いため、独立開業してすぐに「建設業の許可」が必要なケースは少ないです。

・手書きでの請求書の作成は、重労働なうえミスも多くなるため、エクセルなどで請求書のテンプレートを作成し、パソコン等で作成することを推奨します。

・帳簿の作成は青色申告・白色申告・両方とも義務付けられています。

・手書きでの帳簿の作成は大変なため、会計ソフトの使用をお勧めします。

・白色申告より、青色申告の方が断然メリットが多いです。


以上が「荷揚げ屋(揚重業)の開業の仕方と注意点!」です。

荷揚げ屋(揚重業)関連の記事のアクセスが多かったため、荷揚げ屋の独立に関する記事書きましたが、

独立開業に関しては「性格的な向き不向き」もあります。

独立開業をお考えの方は、その点も踏まえて、独立開業の判断をする事をおすすめします
(*‘∀‘)

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