自営業者の大きな悩み
・所得(売上-経費)が上がれば、税金が上がる。
・老後が不安
この2点が大きいと思います
この2点の問題の両方に有効な方法として、小規模企業共済というものがあります。
小規模企業共済とは、国の機関である中小機構が運営する、小規模企業の経営者や役員、個人事業主のための積み立てによる退職金制度です。
では、そのメリット、デメリット、グレカイからの提案を紹介したいと思いす。
目次
1. 小規模企業共済のメリット
1-1. 掛金は全額所得控除
掛金の増額・減額・前納もできて、
大幅に節税できます。
掛金月額は、1.000円から7万円までの範囲(500円単位)で選択でき、月払い、年払いを選ぶことができます。
この時点で、年間で最大84万円も所得控除できます。
さらに、掛金の前納もでき、1年以内の前納掛金も同様に控除できます。
売上が上がりすぎた年などは、年末の12月分に1年分前納すると、その年は最大で161万円の所得控除が可能です。
そして、増額・減額もできるため、売上が下がったら掛金を下げて、売上が上がったら掛金を上げる事が可能です。
1-2. 共済金を受け取る時も、税金の優遇措置がある。
共済金受け取り時の、税法上の扱いは、3パターンに分かれます。
1、退職所得(退職金扱い)
*廃業時や、65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が、任意解約または任意退位し一括で受け取る場合など。
退職所得は、税法上大変優遇されています。
退職所得は退職所得控除があり、さらに、退職所得控除を引いた額の半額に課税されます。
しかも、分離課税(他の収入と分けて課税)のため、他の収入と合算されて税率が上がったりすることはありません。
そして、社会保険料や雇用保険料(自営業者は雇用保険は関係ないですが)の対象にはなりません。
退職所得の課税額の計算方法は、
退職所得課税額=(受け取ったお金-退職所得控除額) ÷ 2
退職所得控除額の計算方法は
勤続年数20年以下の場合は、勤続年数×40万円(80万円に満たない場合は80万円)
勤続年数21年以上からの分は、勤続年数×70万円
*例 25年間小規模企業共済に加入した場合の退職所得控除額。
(年40万円×20年=800万円)+(年70万円×5年=350万円)=1150万円(退職所得控除額)
上記の例の場合、受け取り時の共済金が1150万円以下なら税金は掛かりません。
受け取り時の共済金が、1150万円を超える場合は、(受け取り共済金-1150万円)の半額に税金が掛かります。
2、公的年金等の雑所得扱い(年金扱い)
*廃業時や、65歳以上で180か月以上掛金を払い込んだ方が、
任意解約または任意退位し分割で受け取る場合など。
(請求事由が発生した日に60歳以上で、受取り額が300万円以上必要)
分割で受け取る場合は、公的年金等の雑所得扱いになります。
公的年金は、公的年金等控除額を差し引いた額に、雑所得として所得税と住民税が課税されます。
公的年金等の雑所得の所得税率は5.015%です。
公的年金等に係る雑所得の金額の正確な計算方法は、国税庁のホームページをご参照ください。
ちなみに年金扱いで受け取る場合、受け取り時の所得税は、60歳~65歳未満は年間70万円までは無税、65歳以上は120万円までが無税になります。
住民税に関しても、65歳未満と65歳以上で控除額に差があります。
3、一時所得
65歳未満の方が任意解約をする。
または、65歳未満の共同経営者が任意退任をする場合など。
一時所得として共済金を受け取った場合の課税対象額の計算方法は、
一時所得としての課税対象額=(受け取り金額ー50万円)÷2
注意点:退職所得と異なり、他の所得と合算して課税されます。
1-3. 貸付金制度がある
掛金の納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で、無担保、無保証で事業資金等を借り入れることができます。
金利も、借り入れ理由によりますが、1.5%~0.9%と大変安いです。
2. 小規模企業共済のデメリット
2-1. 240ヵ月未満の任意解約は元本割れする。
*これらの条件等は除きます。
・廃業した場合
・老齢給付(65歳以上で180か月以上掛金を納付している場合)
・死亡した場合(家族が受取人になります)。 など
但し、元本割れした金額より節税額が上回った場合、プラス利益になる場合もあります。
2-2. 掛金納付月数が、6ヶ月未満の時点での廃業や、12か月未満での任意解約などは、掛金が戻ってきません。
廃業や死亡した場合でも、掛金納付月数が6か月未満の場合は、掛金は戻ってきません。
任意解約の場合などは、掛金納付月数が12か月未満の場合は、掛金は戻ってきません。
*短い期間の掛金でも、全く戻ってこないのは大きな損失ですので、加入前の検討はやはり大事かと思います。
2-3. 資金が拘束される。
貸付金制度があるといえど、資金が拘束されるのは、自営業者にとって大きなデメリットといえます。
加入前の検討、掛金額等の検討も大事かと思います。
3. 小規模企業共済に関するグレカイからの提案
これは私がやっている方法なのですが、小規模企業共済に加入して、とりあえず少額の掛金を納付するという方法もあります(私の場合は加入して4年ですが、現在の月額掛金は1.000円です)。
共済金を退職所得(退職金扱い)として受け取る場合、掛金納付年数が長ければ長いほど、受け取り時の退職所得控除の額が大きくなります。
自営業者の中には、現在は金銭的な余裕がない方、多少の余裕はあるが、ある程度の資金を手元に置いときたい方が多いと思います。
少額の納付額でも加入しておけば、掛金納付年数は長くなるので、受け取り時の退職所得控除額が大きくなります。
上記の方法なら、ある程度余裕ができてから掛金納付額を上げれば、余裕ができてから加入するよりも、共済金受け取り時の税金は安くなります。
以上が私の提案(やっている方法)です。
小規模企業共済は、国の機関がやっているだけあって、大変有利な商品です。
一度、検討してみる価値はあると思います☻